デジタルミュージアムプロジェクト
・薪能のデジタルアーカイブに関する研究
 日本の伝統芸能である能楽には,薪能と呼ばれる能舞台の周囲にかがり火を焚いて演目を演じる能が存在する.本研究では,薪能のデジタルアーカイブとして,露光時間を変化させ獲得した多方向照明HDR(High Dynamic Range)画像の反射光解析に基づく能装束レンダリング手法,動的照明下における織物のレンダリング手法,松明の揺れる炎のモデル化及び、よりリアルなレンダリング手法,織物のリアルタイム変形シミュレーション及びシミュレーションの高速化に関する研究開発を行っている.

・文化財の直接的VR展示システムに関する研究
 デジタルアーカイブの分野において,高精細に文化財を保存し,多感覚情報を用いてリアルタイムに再現する必要がある.しかしながら,高精細に計測したモデルをコンピュータ上で高速に処理することは困難であるため,リアルタイムかつ高精細に文化財の多感覚による再現を行うことは困難である.また,多感覚情報を用いてより直観的に文化財を展示するには,文化財を直接タッチ可能な展示インタフェースが必要である.そこで本研究では,超高精細にアーカイブ化された文化財モデルを直接タッチ可能な展示システムの開発や,超高精細モデルをリアルタイムに多感覚提示可能な手法に関する研究開発を行っている.


・直接インタラクション可能な実物体指向浮世絵鑑賞システムに関する研究
 有形文化財は年月が経つにつれて劣化していくため,デジタルアーカイブに関する研究が進められている.また近年ではAR技術の確立によって,仮想空間上の物体を実世界に重畳表示することが可能になってきた.しかし,AR技術だけではデジタル文化財を直接触りながら鑑賞することは困難である.また,博物館等ではデジタル文化財に対して直接インタラクション可能なシステムの実現が期待されている.そこで本研究では,実物の和紙に浮世絵を重畳表示させることにより,実物体としての触感を感じながら,仮想物体である浮世絵に対して直接インタラクション可能な鑑賞システムの開発を行っている.


・触力覚計測・モデル化・提示手法に関する研究
 布のような連続的なメゾ構造を持つ物体表面を対象とし,固定視点下で観察した多方向照明画像から幾何光学モデルに基づいて解析し,メゾ構造の反射成分 である拡散反射成分,鏡面反射成分の解析を行うことで触感提示のための粗さ係数と摩擦係数を抽出する方法を提案する.さらに,画像から推定した粗さと 摩擦を,ボイスコイルモータ(VCM:VoiceCoil Motor)からの振動提示と,力覚提示デバイスによる水平方向の力制御により再現するシステムの構築を目指す.




・粒子法による和菓子のシミュレーションに関する研究
 京都を代表するものとして伝統和菓子の創作を体験可能なシステムを開発する.餅,まんじゅう,羊羹などの練りものの触感を仮想的に作り出し,和菓子の基本技法である, 分割,包餡,成形,着色を粒子法を用いて実世界に忠実にシミュレーションし,多地点間で視覚情報や触覚情報を通信・共有することで,遠隔地の熟練者から伝統技法のスキルを インタラクティブに学習可能なシステムの開発を行なっている.

・マルチバンドによる織物の反射光解析に関する研究
 画像より物体色鏡面反射成分の分離方法を提案する.反射光の 反射方向による強度変化(拡散反射、鏡面反射)と色成分(光源色、物体色)の組み合わせにより,光源色鏡面反射,物体色鏡面反射,光源拡散色反射,物体色拡散反射を 画像から分離した.その結果,糸を構成する単糸の表面で光源色反射成分が現れ,単糸を透過した光が物体色鏡面反射成分として現れていることを見出した.



・織物の異方性反射光解析に関する研究
 織物は強い異方性反射特性を持ち、コンピュータグラフィックスでの再現が難しいとされる。このような反射特性の原因は、織構造と糸の反射特性が影響していると考えられる。本研究では、まずマルチバンド撮影により分光画像を得, 1ピクセルごとの色の分光反射率を推定することで,対象物の正確な色情報を獲得する.その後,その分光反射率を用いて様々な色の織物の反射成分を分離する.
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