少数視点画像の反射光解析に基づくシルクライク織物の異方性反射レンダリング

光沢のあるシルクライク織物を対象とし，繊維の断面形状と織り構造の違いにより織物の光沢感に相違が現れることに着眼し，入射方向を固定した少数の多視点観測画像から，反射光解析に基づき織物の異方性反射特性を表すBRDFを効率的に自動生成する.

多方向照明HDR 画像を用いた金襴の多重解像度BTFモデリング

金襴と呼ばれる平金糸を織り込 んだ伝統織物を対象とし，多方向照明HDR(High Dynamic Range)画像解析による多重解像度BTF (Bidirectional Texture Function)の自動モデリング法を提案します．実験結果から，近視距離レンダリングにおいては金襴の微細構造が高精度に再現され，遠視距離レンダリン グにおいてはレンダリングに劣化が発生せず，かつ金襴のエイ リアシングが解消されていることを確認し，提案手法の有効性 を示しました．

多方向照明HDR画像を用いたシルクライク織物の3次元織構造モデリング

織物の視覚的特徴は織構造に由来することに着目し，一般的な織パターンである平織, 綾織(ツイル), 朱子織(サテン) を対象とした、光沢のあるシルクライク織物の3 次元織構造を自動抽出する方法を提案する．織物のメゾ構造, 織構造と反射特性を自動的に復元することで，フォトリアリスティックな異方性反射BTFレンダリングに必要なパラメータを，自動的に獲得することが可能になる．また，織構造パラメータを様々に換えた，実世界に忠実な布シミュレーションにより，任意の織パターンや文様や光沢や透過性を持つ衣装創作を仮想体験することが可能になる．

透過性を持つ織布で織られた能装束のレンダリング

オブジェクトのdepth値を使い視点から近い順にジオメトリを取得する．モニタに投影可能な解像度では布の格子構造を再現することが出来ないため，いったんモニタの解像度よりも高い解像度でレンダリングする．得られた高解像度画像にフィルタリングをしてモアレを抽出し，抽出したモアレをマスク画像として使用して通常のモニタの解像度でレンダリングすることで透過性織布の格子構造により発生するモアレを再現する。

文化財のデジタル展示のためのImage Based Lighting による照明環境の再現

撮影環境から照明環境を再現するImage Based Lighting(IBL) の技法を使用し, 能面・能装束のデジタル展示を可能にした. 全周囲の撮影のため, 魚眼レンズを使用し撮影回数を少なくした. 撮影時に露光時間を変化させて獲得したHigh Dynamic Range(HDR) 画像を用い, 正確な照明光を獲得し, その照明光に照らされる能面・能装束のレンダリングを可能にした.

メンバー

研究業績

武田祐樹，田中弘美：
”多方向照明HDR 画像を用いた金襴の多重解像度BTFモデリング”
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)論文集，長野，July 2008

Yuki Takeda, Hiromi T. Tanaka :
"Acquisition, Modeling and Rendering of Bidirectional Texture Function of Ancient Japanese Noh Costume Fabrics"
Proc. The 8th International Symposium on Virtual Reality, Archaeology and Cultural Heritage (VAST2007)
Eurographics Symposium Proceedings, pp.40-43, Brighton, UK, Nov. 2007

尾崎僚，武田祐樹，田中弘美：
”光学異方性測定測定装置を用いた透過性織布の三次元織り構造の復元”
日本バーチャルリアリティ学会 第12回大会論文集，福岡，Sept. 2007

Ryo Ozaki, Yuki Takeda, Hiromi T. Tanaka ：
”Extracting Reflection Components of Glossy Woven Fabrics with High Dynamic Range Image"
Proc. 14th Korea-Japan Joint Workshop on Frontiers of Computer Vision, pp.208-213, Oita, Jan. 2008

尾崎僚, 西脇靖洋, 武田祐樹, 湯原卓広, 田中弘美：
“多方向照明HDR画像を用いたシルクライク織物の3次元織構造モデリング“
「画像認識理解シンポジウム(MIRU2009)」, 2009,7

尾崎僚, 西脇靖洋, 武田祐樹, 湯原卓広, 田中弘美：
“多方向照明HDR画像を用いたシルクライク織物の3次元織構造モデリング“
VR学会論文誌, Vol. 14 (2009), No. 3 pp.315-324

Ryo Ozaki, Yasuhiro Nishiwaki, Yuki Takeda, Takahiro Yuhara, Hiromi T.Tanaka：
“Weave Pattern Modeling of Silk-like Fabrics from Multi-illuminated HDR Image Analysis”
ICCV eHeritage Workshop 2009 10