研究背景
近年、仮想空間上での遠隔協調作業に関する研究が盛んに行われており,医療や教育などの分野での応用が期待されている.
仮想空間上で協調作業を行うためには,様々な情報(視覚,聴覚,触覚情報など)をネットワークを介して交信する必要がある.
その中でも触覚は,高臨場感協調作業を実現するために必要な情報として着目され,実時間での触覚通信技術の確立が求められている.
触覚通信とは?
遠隔地間にいる2人のユーザが,仮想空間上の物体を操作し,触覚を共有
触覚通信を実現するためには?
- 視覚情報とは異なる高いフレームレート(1kHz)での高速通信
- 相手の操作による触覚の相互干渉
研究目的
本研究では,遠隔地点間で手術シミュレーションを行うことのできる触覚通信システムの構築を目指す.
- 柔軟な肝臓の変形シミュレーションモデルを用いて,触覚通信
- ネットワークによる遅延の生じない,実時間での同期手法の実現
手法
各端末を同期させるために,同期用サーバに一度情報を集め,各端末に送り返す.
しかし通信遅延やパケットロスを考慮し,同時刻の情報を組み合わせて変形計算を行う必要がある.
そこで,タイムスタンプを操作パラメータと共に送信し,同期の精度を向上させる.
結果
肝臓モデルを対象とした触覚通信
遠隔触覚通信の様子
メンバー
M2 備藤 達郎
PD 田川 和義
研究業績
- ○ 山口 哲, 田中孝英, H.Q.H.Viet, 高間 康文, 辻野 圭則, 山下 裕礼, 小澤 美有紀, 田中 弘美,"ボリュームベース臨場感通信のための遠隔地間実時間触覚共有システムの開発", 立体映像技術研究会, NiCT独立行政法人 情報通信研究機構, 2007
- 〇 田中 孝英, 山口 哲, H.Q.H. Viet, 高間 康文, 辻野 圭則, 田中 弘美, "ボリュームベース臨場感通信実現のための遠隔地点間実時間触覚共有システムの開発", 日本バーチャルリアリティ学会論文集第12回大会論文集, CD-R 3D2-6, (September 2007).
学会発表
- 情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会,東京大学,2010/3,オーラル発表(備藤)